2008 plastic cases, cicadas, nuts, wire, fishing gut
300cm×150cm
The Artcomplex Center of Tokyoでの展示
私たちはある拾い物をした。
例えばそれは、ガチャガチャのカラ。
中身だけ抜き取られて、ガチャガチャの横にひっそりと捨てられているもの。
プラスチックのそれらは実にカラフルで、大きさも大小あり、
おまけに、コロコロと可愛らしく転がったりする。
例えばそれは、セミの抜け殻。
毎年夏になると木の上で大声を上げ鳴いているセミたちが、
いつの間にか土の中からムクムクとはい出して、
木の幹や、葉っぱの裏にヒッソリと残したもの。
改めて観察すると、その美しさや細かさに驚かされる。
そして、道端に落ちていた様々な木の実。落ち葉。ケロリン…。
それぞれの役目を終え、消えていく物たち。
しかし、ただ消えさせてしまうには惜しいモノたち。
道端に存在する、取るに足りない、けれども素晴らしいそれらを
もう一度よく見てもらいたかった。
かつてあった「中身」の気配。
所属していたころの「記憶」。
そこにある「からっぽ」。
そこにある「限りなく広がる空間」。
私たちは、そういったものに惹かれてしまうのだろう。